2011年08月09日

025:閑話休題(気持ちのお話し) と 告知(講習会)

■生き死にということ

 武道を生き死にの問題ととらえるのは、ひとつのロマンですが、それを掛け値なしに口にする資格を持っている武道家は、きわめて限られた存在だと思います。

 体操を学ぶ娘のつきそいでジュニアの大会に応援に行ったりするのですが、小学生も高学年ともなると、ゾッとするような怖い技をこなしています。ちょっと気を抜いたらたちまちおかしな落ち方をし、死なないまでも半身不随くらいにはなってしまうのではないでしょうか。
 だからこそ十全に安全配慮が為されてはいるのですが、それでも、彼らのほうがよほど「生き死に」に直面しています。
 ひるがえって武道の稽古で、「死ぬほど苦しい」ことはあったとしても、現実に死と直面するようなシーンがあるでしょうか?(むしろあったとしたら、その稽古方法には根本的な問題があると言わざるを得ません。)

 また、青木宏之先生の師である江上茂先生は、こんなことをおっしゃられたそうです。

「空手は遊びだ。遊びは真剣にやらないとおもしろくない」

 ──痺れるくらいに格好よい台詞ですね。
 空手に生涯を捧げた江上先生ほどの方が口にされると、その自然体ぶりには凄みさえ漂うかのようです。
 ひるがえって自分程度の者がと思うと「生き死に」などとは恥ずかしくて口が裂けても言えません。
 いつか、「オレもそこそこ気ィ入れて遊んだよ〜。最高だよな空手って」くらい言えるようになりたいものです。

 まずは不確かな「生き死に」などよりも、それ自体が楽しく日々の糧になるような稽古であるほうが健全だと思います。
 すると今度は、稽古体系に「説得力」が求められます。あまりに荒唐無稽であるよりは、ありそうなものの方が身が入るというもの。
 多少のスリル・緊張が伴い、稽古後のビールが美味ければそれだけで価値があります。稽古が盛り上がって翌日筋肉痛に軽く呻くくらいなら充実この上ありません。さらに上達が自覚できたときの達成感は、筆舌に尽くしがたいものです。
 また忘れてならないのが稽古仲間。学生も社会人も、学校や職場の他に最低もう一つの世界を持つべきだと言われています。一緒に汗を流し身体をぶつけ、同じ壁に悩んだ「道友」のありがたみは、異業種交流会や朝活などで名刺交換をしただけの「知人」とは全くの別物です。たいてい当たり前に異業種同士ですしね。

「生き死に」ではなく「生き生き」とした稽古を目指すのが、今日的な答えのひとつになるのではないかな、というのが話のオチでした。


 さてそこで、空手講習会のお知らせです。
   ↓
【告知】NPO新体道ワークショップ【11/08/20】

■新体道空手講習会
〜太極・平安・抜塞〜

 来る8月20日、NPO新体道協会主催の空手講習会で、大井主席師範監修のもと実技の号令を務めます。
 ここ数年、夏に行われている定例の講習会で、今年は第一回が6月18日に開催され、第二回が来る8月20日に行われます。
 今回は「太極(大)」、「平安(小)」、「抜塞」をテーマに取り上げます。

「太極(大)」……一般に「太極初段」と呼ばれているものが新体道空手の「太極(小)」に相当し、これに創始者青木宏之先生が創意を加えて出来たのが「太極(大)」です。

「平安(小)」……一般に「平安五段」に相当する、新体道空手の制定型です。
 上記の太極(大)もこの平安(小)も、ストロークを大きく四肢と腰をいっぱいに使うことで全身の協調が生まれ、従来の空手型では得られない心身の効果を学ぶことが出来ます。

「抜塞」……腕受け、諸手受けを多用する、流れの美しさ心地よさと、山突きと呼ばれるダイナミックな動作が特徴的な、空手らしさのなかにもどこか太極拳のような悠久さを感じさせるたいへん素晴らしい型です。

 参加者全員で「太極(大)」をおこない、途中から「平安(小)」と「抜塞」とにコース分けをいたします。(今回は「抜塞」を受け持ちます。)

 全身をしなやかに発達させ、リラクゼーション&重心降下を得意とする新体道の準備運動は、ちょっとした健康体操を学びたい人はもちろん、さまざまなジャンルの武道愛好家やアスリートにオススメ出来る内容となっております。
 たとえば身体が硬くてお困りの方、これをやわらかくするのは非常にかんたんなことです。ぜひお試しください。
(型の稽古では、解釈にかかる部分のご質問も受け付けます。)

 会員・非会員問わずどなたでも参加が可能です。
 ご興味のある方は、参加要領等、下記新体道協会までお気軽にお問い合わせください。

 日時:2011年8月20日(土) 13:30〜17:00
 会場:渋谷区スポーツセンター 小体育室
 交通:京王新線幡ヶ谷駅より徒歩数分
 主催:NPO新体道…TEL:03-6915-0071 / Mail:mail@shintaido.com
posted by 秋山勇浩 at 00:32| Comment(0) | 空手 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月25日

024:平安三段、抜塞etc.

■脇構えのこと
〜準備動作ではなく、動作結果〜

 人のブログは更新が待ち遠しいのに、自分のときたらちょっと油断するとだいぶ経っています。前回ワークショップ告知の際に「ひと月ほど空いたか」と思ったらふた月以上も放置していたようで驚きました。

 さて、ワークショップ(リンク先はその合間に撮った演武)も無事に終わりまして、時期はずれの大掃除をしていましたところ、古い雑誌にこんな写真を見つけました。心道流、宇城師範の記事です。

 脇構え(1).jpg
 (『月刊 秘伝』2002年1月号 P.14)

 説明にはこうあります。
「空手特有の拳を脇へ構える動作も、そのまま逆関節を極めての投げへと展開される」
 そして実例として次の写真が掲載されていました。

 脇構え(2).jpg
 脇構え(3).jpg
 合気道でいえば一教に相当する制し方です(一教の場合は、写真左手で肘を返してゆきます)。
 以前「平安三段分解(後屈諸手受:009項)」で、内受と諸手受の違いについて考察した際、両手を腰にとる動作については受け技の準備動作ではなく、両手で相手の攻撃を掴んで引き込む動作ととらえたほうが、より自然な解釈につながるのではないか、としました。なぜならば、内受と異なり諸手受が「受け」としては致命的に役に立たないからです(考察についてはリンク先をご参照ください)。
 やはりここでも脇構えの動作は「(諸手受や横蹴り裏拳打の)準備動作」ではなく、「突きを掴まえて引き寄せた動作の結果」として紹介されています。
 たぶん昔この記事は目にしたはずなのですが、全く記憶になく、新鮮な驚きさえ覚えました。
 目の前に答えがあっても、そういう意識でないときには見えていないも同然だということでしょうか。………自分で考えついたつもりでいたのですが、昔見た記憶に認識が追いついただけなのかもしれません。
 記事の掲載から実に10年近くの月日が経ちますが、未だに脇構えが裏拳や諸手受の準備動作という認識が主流なのは、空手を愛好している人の間では、誰もこの部分に疑問を覚えていないということなのでしょうか。
 私は不思議でたまらないのですが。

 この連続写真、よく知られたところでは平安五段カギ突からの諸手受あたりの動作に相当するように見えますし、左右鏡像にすれば平安三段の諸手受の入り方そのものです。

 以前、005項で四方投の動作を逆の手に対して行うと──つまり、相手の右手に対する四方投ならば、その動作で相手の左手をくぐると──そのまま三教になる、ということを紹介しました。同様に小手返の動作は、相手のもう一方の手に対しては一教として働きます。
 つまり、写真のように左脇構えから右諸手受への動きをする場合、相手の左の突きを捕れば一教、右の突きを捕れば小手返しになります。

 十何年か前だったと思いますが、知人に誘われて2度ほど宇城師範の講演会を見学に行ったことがあります。
 いま思えば、突きの処理で紹介された小手返しが綺麗でいらっしゃいました。そのとき演じていたのは大きく回すスタイルのもので、「平安三段分解(後屈諸手受:009項,011項)」や「抜塞分解(山突き:016項)」で述べたような、その場で肘をたたむようにして落とす小手返しではありませんでしたが、あれは何の型の解釈の紹介だったか…。
 養神館と合気会とで全く違うのを見れば自明であるように、小手返しの方法は一つではありませんので、型が違えば小手返しも何通りかあってしかるべきでしょう。
 そして、上の写真は小手返しにつながる動作ではありませんが、いずれにせよ「両手を腰に持ってくる動作」=「突きを掴まえて引き寄せる表現」ということも確かなものと考えてよいようです。
 そうしますと、横蹴りの前に必ず脇構えがあるという事実は、きわめて象徴的で面白いことのように思われます。
 
 また、雑誌記事を引き合いに書き始めた構成上、最後になってしまいましたが、楽天会世代の師範にして新体道空手の名手、花木哲男先生は「両手を腰に持ってくる動作は"投げ"の表現なんや」と、そういえば確かにおっしゃっていました。
 昔それを聞いたときは「これが何の投げになるんだ?」と思ったものですが、結局のところ先生のおっしゃる通りだったわけです。不肖の弟子で、全くもって申し訳ありません。
 
 頑張らなければ。
posted by 秋山勇浩 at 01:22| Comment(2) | 空手 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月12日

023:【告知】NPO新体道ワークショップ【11/06/18】

■新体道空手講習会
〜太極・平安・岩鶴〜

 来る6月18日、NPO新体道協会主催の空手講習会で、大井主席師範監修のもと実技の号令を務めます。
 ここ数年、夏に行われている定例の講習会です。今年は第一回が来る6月18日、第二回が8月20日に行われます。
 今回は「太極(大)」、「平安(大)」、「岩鶴」をテーマに取り上げます。

「太極(大)」……一般に「太極初段」と呼ばれているものが新体道空手の「太極(小)」に相当し、これに創始者青木宏之先生が創意を加えて出来たのが「太極(大)」です。

「平安(大)」……「平安二段」「平安四段」を組み合わせた、新体道空手の制定型です。
 上記の太極(大)もこの平安(大)も、ストロークを大きく四肢と腰をいっぱいに使うことで全身の協調が生まれ、従来の空手型では得られない心身の効果を学ぶことが出来ます。

「岩鶴」……横蹴りを多用した開放的な動作と、岩鶴立と呼ばれる静かなたたずまいの片足姿勢とが特徴的な、たいへん豊かなテーマをもった型です。

 参加者全員で「太極(大)」をおこない、途中から「平安(大)」と「岩鶴」とにコース分けをいたします。(今回は「岩鶴」を受け持ちます。)

 全身をしなやかに発達させ、リラクゼーション&重心降下を得意とする新体道の準備運動は、ちょっとした健康体操を学びたい人はもちろん、さまざまなジャンルの武道愛好家やアスリートにオススメ出来る内容となっております。(型の稽古では、解釈にかかる部分のご質問も受け付けます。)

 会員・非会員問わずどなたでも参加が可能です。
 ご興味のある方は、参加要領等、下記新体道協会までお気軽にお問い合わせください。

 日時:2011年6月18日(土) 13:15〜16:45
 会場:台東リバーサイドスポーツセンター 第二武道場
 交通:地下鉄浅草駅より徒歩10分
 主催:NPO新体道…TEL:03-6915-0071 / Mail:mail@shintaido.com
posted by 秋山勇浩 at 10:45| Comment(1) | 空手 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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