2015年05月01日

043:小太刀で試し斬りをしてみよう(3)最終回

 日付はまたも『小太刀で試し斬りをしてみよう(1)』のまま3/28(土)です。
 
 斬れはするのですが、どうにも爽快感から程遠いため、悶々としてしまいます。
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 (前回の半畳巻き…斬り口の汚いこと。)

「ほんのちょっと──5mmの深さで手の甲を斬られたらもう刀なんて持てなくなるんだからな?」と、刀剣による負傷の深刻さについて青木宏之先生はそう説かれ、剣術において深手を負わせる必要性についてのナンセンスさを語られていました。しかし、だからといってそれを言い訳に試斬がヘタクソであっていいはずがありません。何よりそういう青木先生ご自身は、一升瓶ほどの太さの孟宗竹を大根みたいにズバズバと斬ってしまいます。(私はビール缶くらいまで……)

 竹も巻き藁も何度も斬ったことはあるし、簡単だったのにな……以前と何が違うのだろう。
 ものすごく腕が落ちたのかと、不安がもたげてきます。
 もっとも試斬の回数自体はさほどでもないので、落ちるほど腕があったとも思えませんが。

 散らばった藁くずを片付け、何気なくネットで「試斬」を検索。普段は武道の情報などろくに見もしないのですが、こうも上手くゆかないといろいろ気にせずにはいられません。
 すると──
 
 某居合道宗家のブログで「乾燥した巻藁はよほどの手練でないと、刀を大きく損傷させます」との文言。
 
 ──え?

 巻き藁を水に漬けるのって必須だったの?

 いや、確かに今まで経験した巻藁はどれも濡らしたものでしたが。
 また以前、これも青木先生が、試斬で使う巻藁が3日とか、流派によっては1週間近くも水に漬けたものであることについて「そんな腐りかけの藁なんか斬れなかったらどうかしている」か、それに近い旨のことをおっしゃってたので、そんなもん斬っても仕方ないだろと思ったり……。
「数をこなさねば」という思いもあって、今回そこは省略してそのまま巻いては斬りつけを繰り返してました。

 するってぇと、これがサクサク斬れたら「よほどの手だれ」にリーチってことなのでしょうか?いや確かに難しかったけど、出来ないってほどじゃ……よっしゃ、やったる。
 田中光四郎先生も、「春〜夏の竹なんて斬れて当然。真冬の乾燥した斬れない竹を斬るから面白いんですよ」とおっしゃってました。
 先生の方向性とも一致しています。これはやりがいのある目標を発見しました。
 
 しかし本当にそんなに違うのかどうか。以前に経験した巻藁斬りはもうずい分前ですし、大小の刀や濡れ藁や乾燥藁とさまざまに条件を変えて比較したわけではないので、どれくらい違うのかピンときません。
 さっそく濡らして試してみましょう。
 
 とはいえ数時間なんてとても待てないな…ということで、ベランダで水まいて15〜20分ほど経ったのを小太刀で斬ったのがこちら。
 巻き藁_R.JPG

040:日子流小太刀を作ろう(5)最終回』の最後に載せた巻藁です。
 半畳巻きであれほど苦労していたのが嘘のように、一畳巻きがザックリ。
 
 ホントだ全然違うわ。こんなことだったのか。
 
 前回の答えは「(5)その他」で、「巻き藁が乾いていたから」でした。ε-(-_-;) ホッ…ヨカッタ、ウデノセイジャナイ
 

 ***  ***
 

 さて後日談を申しますと、この翌週、神楽坂の本部道場で試斬の稽古が行われ、やはりどうということもなく左右の袈裟とも普通に斬れました。(※)
 内心ホッとしてさらにその翌週4/11、小太刀の審査に臨みましたところ、田中先生から「斬り上げをしたことはありますか?」とのお言葉。
 うわ…そうきましたか。もちろん未経験です。はい。
 しかし「体術の補助的な位置づけで剣も一応振ったりする」くらいの流派ならばともかく、日子流において体術と小太刀は稽古の両輪です。小太刀もやがては専門家の領域を目指さねばなりません。
 初めてこれを習い、その場でチャレンジ。当然に斬り上げは今ひとつだったのですが、しかしながら弐段を許されました。オマケの感が否めず、どうにも歯がゆい気持ちが残ったので、翌週ふたたび巻藁を用意していただき、本部のちゃんとした試斬台で自主稽古。
 結果、斬り上げもほぼ確実に出来るようになりました。
 ……次は水平ですね。


 ここで自流派の宣伝です。
 日子流では、本部道場開設後、このように試斬もある程度定期的に行うことで今まで以上に小太刀の技術修得を目指しつつ、その同じ理合いから組み立てられた体術や護身術の稽古が行われています。

 関心を持たれた方はぜひ一度、見学においでください。体術・小太刀・護身術──いずれの体験からでも結構です。
 お問い合わせはこちらから。お気軽にどうぞ。
 
 事務局でなく私個人宛の場合はこちらから。さらにお気軽にどうぞ。
 私は現在、平日19:00からの稽古枠、火曜の小太刀と木曜の体術の指導を担当しております。


※巻き藁…
 日子流では一晩漬けて一晩陰干しです。さらに芯に細竹を入れると人体に近くなるのだそうですが……「刀が傷むからといって、最近はそういう巻き藁を斬る人もいなくなりましたね」とは田中先生の弁。
 いつか──いずれそう遠くないうちに、そういうものが斬れるようになりたいものです。
ラベル:剣術 道具 雑記
posted by 秋山勇浩 at 01:12| Comment(0) | 剣術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月29日

042:小太刀で試し斬りをしてみよう(2)

 日付は前回『小太刀で試し斬りをしてみよう(1)』のまま3/28(土)です。
 
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 なんだかさっぱり斬れません。巻き藁ってこんなに堅いものだったかな…
 イライラしますが、冷静に原因をさぐってみましょう。こういうときはまず要素を切り分けることです。
 
 <考えられる要因>
 (1)小太刀・拵え
 (2)小太刀・刃
 (3)腕前
 (4)試斬台
 (5)その他
 ──だいたいこんなところでしょうか。
 
 (1)小太刀・拵え
 …は、まあ大丈夫でしょう。斬れたときより斬りそこなったときの方が、反作用が大きいはずです。が、それにも関わらずビクともしていません。ということは充分な強度があるとみてよさそうです。
 →なので除外。

 (2)小太刀・刃
 …とりあえず、包丁用の適当な砥石で簡単に刃をタッチアップしてみます。
 →結果変わらず。研ぎの腕前が悪い可能性が残りますが、それはそれとして。除外。

 (3)腕前
 …大刀と小太刀とでは斬り方が全然違います。大刀の場合、巻藁程度なら刀の自重で、極端に言えば手首でチョイと振ってやれば斬れてしまうのですが、小太刀は軽いためそうは行きません。刀身をわが身の近くから離さず、腰を沈めることで重さを乗せてやらなければ斬れない…と、田中光四郎先生はおっしゃってました。
 先生の昔のお弟子さんで抜刀術の専門家になられた方でさえも、いざやってみると小太刀での試斬は苦労されたと聞きます。
 もし大刀で斬れるなら、単純にまだ小太刀の身ごなしが出来ていないということになります。というわけで試しに大刀で試斬。
 →斬れはするけれど、あれ?やけに斬りにくい?大刀でこんなに難しいワケはないので、(4)か(5)の可能性が…。

 (4)試斬台
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 …不安定だし、しなるしな〜。ダンベルをくくってはありますがまだ不安定で、ともすると引っくり返りそうになります。しなるのはどうにもなりませんが、箱買いした炭酸水を乗せて、せめて重しを増やしてみましょう。
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 →台がマシになったら、なんとか斬れたりするようにはなってきました。

 (5)その他
 …は、わからないので、とりあえず保留。
 
 そうしましたら斬れるまで稽古するだけです。
 斬れたり斬れなかったりを繰り返しながら、どうにか半畳巻ならだいたい斬れるようになってきました。

 IMG_2766_R.JPG
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 (とはいえ斬り口が汚くて気持ちが凹みます。)

 ちなみに巻き藁が中空になっているのは、こうやって巻いているから。
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     ↓
    スポッ
     ↓
 IMG_2770_R.JPG  
 市販の試斬台と違い、巻き藁を刺す芯棒が尖っていないので、こうしないと刺さらないのです。
 しかし、この中空構造がクッションに働くのか、打ち込んだ瞬間に妙な手応えがあります。
 空洞部が〇→0みたいに変形しているような……まぁ仕方ないですね。変形を上回る速度で斬りつけることを目指しましょう。
 
 しばらく繰り返せば身につきそうな気がします。

 「ェイッッ────(ゴツッ)ああっ!?」
 網戸1_R.JPG
 網戸3_R.JPG
 スピード重視で振ったら網戸のアルミ枠に斬りつけてしまいました。
 刃こぼれは………してない。ほっ。
 そしてこういう稽古は集中力が擦り切れて雑になってくると事故につながります。やめやめ。だいたい見通しが立ったところでおしまい。
 これからどんどん経験を積めばギリギリ4/11(土)の審査に間に合うでしょう。
 
 しかしこの後、意外なオチが。
 続く。

ラベル:剣術 道具 雑記
posted by 秋山勇浩 at 13:20| Comment(0) | 剣術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月27日

041:小太刀で試し斬りをしてみよう(1)

 さて記事の時系列からは外れますが、さる4月11日(土)、日子流の小太刀審査があり、試斬その他の実技の末、ありがたくも弐段を許されました。

 閑話休題。

 ──というわけで、さっそく試し斬りです。遡って、日付的には柄巻を終えた3/28(土)。『038:日子流小太刀を作ろう(3)』の当日で、鞘に取り掛かるつもりがサラサラなかったあたりです。

 以前、近所にあるホームセンターの畳コーナーで、畳表の廃物をもらえる話をつけておいたのですが、担当が替わってしまい残念ながらボツ。
 産廃業者に金を払ってまで引き取ってもらってるのだからくれたって良さそうなものですが、廃棄に関する規程でも定まってしまったんでしょうね。企業がいい加減な捨て方で事業ゴミを取り扱うよりはむしろいいことですので、まぁ仕方ありません。

 この辺に畳屋なんてあったかな…と検索すると、徒歩5分程のところに個人商店が一軒ありました。
 しかも突然の電話なのにこちらは快諾してもらえました。ラッキー。

 こんなにたくさん♪
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 (妻の眉根があやしく曇ります…)
 
 ちょうど転居シーズンで大量に出たところだったのだそうです。
 畳表の廃物が季節モノだとは知りませんでした。

 試斬台などありませんので適当に自作。ベランダに放置していた組み立て棚の骨組みを使いました。
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 さて──

 柄巻きはもう10何回目かですし、柄下地からの制作も、これで3つめです。しかし自作の柄で試斬は初めてでしたので、正直、拵えの強度が充分なのか、やってみるまで確信は持てません。
 また、大刀では巻藁も竹も経験していますが、小太刀での試斬がこれまた正真正銘初めてで、どの程度の力加減なのかすら分かりません。
 だいたい小太刀がどれくらいの斬れ味なのかも知りませんし、それに比べ我が愛刀の斬れ味がどの程度なのかも、まったくもって不明なのです。
 わからないことだらけ。

「包みを開けたらビックリするような悪い刀だからな?」

 青木先生の言葉が、否応なく頭をよぎります。
 ………そのようなわけで最初は慎重にならざるを得ません。無理な力がかかったり単純に強度が足りなかったりして柄が壊れでもしたら、大怪我につながりますからね。
 なので、とりあえずは半畳巻から。
 
 ……あれ?
 
 なんだこれ?
 IMG_2765_R.JPG
 
 確かに斬りつけた瞬間、台の金属軸が柳のようにしなったけど、いやいやいくらなんでも…
 こんなに斬れないものなのか?
 
 小太刀が悪いのか腕が悪いのか、それとも台のせいなのか。
 自分の名誉のためにあらかじめ言っておきますと、この日、結局は1畳巻まで斬れたからこそ前回のラストの写真があるのですが、今回ここは「引き」で終わっておきましょう。

 続く。
posted by 秋山勇浩 at 23:18| Comment(0) | 剣術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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